2017年10月26日

繰り返される性暴力の構造を解き明かす

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弊社はこのほど、『沖縄の基地と性暴力』を発刊したが、その趣旨は以下のとおりである。

「これまでも米軍関係の犯罪について何度か書いたが、性暴力に焦点を当てて本をまとめることは今回が初めてである。真正面から論じることに躊躇があった。性はもともと、おおっぴらに口にすることがはばかられる。書き方によっては、下品とか、けがらわしいとか思われ、冷たい視線を浴びかねない。

そもそも沖縄の基地について語るとき、性暴力に絞ってまとめることに意味はあるのだろうか。そんな疑問も当然わいてくるだろう。軍は性暴力を奨励しているわけではない。性暴力に走る兵士もいれば、そうでない兵士もいる。一般の日本人でも性暴力をふるう者がいる。動機となる欲望は男性だったら大なり小なり抱えている。欲望が強いか弱いか、相手の気持ちを推し量れるか、倫理観がしっかりしているかどうかが境界線となるだけ。個人の資質の問題にとどめたくなるかもしれない。

最近起きた米軍関係の性暴力にだけ注目すれば、こうした考えが頭の中に広がるだろう。しかし、米軍が初めて沖縄に上陸し沖縄を統治し始めた頃までさかのぼり性暴力の歴史を振り返れば、まったく違った思いがこみあげてくる。性暴力と軍を切り離せないと思えてくる。たとえば、複数の兵士による沖縄女性の強姦事件。複数といっても、3、4人くらいまでならば、標的の女性を確実に捕まえるためと想像できる。

だが、7、8人から十数人がかかわる事件が珍しくなかった。何ら武器を持たない、たった1人の女性を襲うために「なぜ」と考えたくなる。ベトナム戦争へ米軍が介入を深めた時期、沖縄で起きた性暴力には、女性を凶器でめった刺しにしたり首を絞めたりするなど、かなり手荒い犯行が少なくなかった。単に女性の抵抗を阻むためとは思えない。性的な欲求を満たすという基準だけでは推し量れない行動である。

まったく異様な事件であるが、これは例外ではない。中国で旧日本軍が同じような事件を起こしていた。太平洋戦争末期、米軍との決戦に向け沖縄に集まった旧日本軍について調べるうちに気づいた。中国人女性を捕まえては、複数の旧日本兵が代わる代わる強姦し、暴力を加え場合によっては殺す。被害者側の中国人や加害者側の旧日本兵の証言をまとめた資料も残されている。

旧日本軍と米軍の成り立ちや雰囲気、イメージにかなり隔たりがあるにもかかわらず、性暴力については奇妙に重なる部分が多い。性暴力にかかわった元日本兵が、自らの生い立ちを振り返っている(詳しくは本文を参照)。子供の頃から学校で、「大和民族は世界一優秀」と持ち上げる一方、中国人は「劣等民族」とこきおろすように教育された。日本の中国に対する戦争も「正義の戦い」と信じるようになる。実際に兵士として中国大陸に乗り込むと、ためらうことなく敵を殺すための訓練を重ねる。戦闘の中で味方に負傷者や死者が出れば、中国人に対する憎しみはさらに増す。差別意識と憎悪が際限なく膨らみ、戦闘に直接関係のない女性を強姦することすら「何が悪い」と思うようになる。

中国大陸における性暴力を告白した元日本兵はみな、日本では性的な異常者でなく平凡で穏当な市民だった。おそらく、沖縄で性暴力を犯した米兵たちも大半が、母国では性的異常者でなく一般的な庶民だったのだろう。性的異常者ばかりが軍隊に送り込まれるはずがない。差別意識や憎悪にあおられ、「こいつらに何をしてもかまわない」という感情が膨らむ。性暴力の狂気は強烈な伝染病のように兵士の間に広まったと考える方が自然だろう。同じ状況に置かれれば、誰でも性的暴力者になったかもしれない。

国と国が戦うとき、すさまじい負の感情エネルギーが生まれる。制御不能な激しい憎悪が暴れ回り差別意識が噴き出す。抑圧された精神を解き放ち確実に満たすため、飢えて狂った獣が獲物を探すように、相手方の最も弱い部分を見つけ攻撃する。徹底的に打ちのめそうとする。戦いが終わった後、時間が経つに従って、表面上は穏やかになり平時に戻ったようにみえても、蓄積された膨大な憎悪や差別意識は簡単に消えない」
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2017年10月24日

『沖縄の基地と性暴力』を発刊

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 沖縄探見社ではこのほど、『沖縄の基地と性暴力』を発刊しました。本書の概要は以下のとおり。さらに詳しい情報や購入の申し込み方法は弊社のサイトへ(http://www.okinawatanken.ecnet.jp/)。

A5判 全96ページ 定価1000円+税
沖縄探見社編・刊

@ 目を覆いたくなる膨大な残虐事例
太平洋戦争に始まり、米軍統治下を経て、本土復帰後の現在に至るまで絶えることのない、性暴力の数々を紹介する。驚かされるのは件数の多さだけでない。屈強な男たちが大人数で暴行、武器を手に女性宅に侵入、抵抗する女性をメッタ突きなど、凄惨な事件が繰り返される。

A 戦争があおる性暴力の構造を分析
住民の意志とは無関係に、直接、間接に「戦争」に巻き込まれ続けた沖縄。増幅され巨大化した憎悪と差別意識は、飢えた野獣のように社会の最も弱い部分を探し出し徹底的に攻撃する。この構造は、沖縄の支配者が旧日本軍から米軍に転じても変わらなかった。

B 犯罪を助長する風潮や法制度
沖縄が本土に復帰した後も、法の下の平等、人権の尊重、情報公開といった民主主義の基本原則よりも、米軍基地を優先させる法制度や風潮が犯罪を助長してきた事実は否定できない。殺人容疑で逮捕された米軍属は「逮捕されることは心配しなかった」と語った。
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2017年10月20日

沖縄の米軍ヘリ事故で日本従属が浮き彫り

那覇市上空を飛ぶCH53Eとみられる大型ヘリ 005.jpg

10月11日に東村高江で炎上事故を起こした米軍のCH53E大型輸送ヘリと同型ヘリが10月18日に飛行訓練を再開、翌日には、同型らしきヘリが那覇市上空を何度も飛ぶ姿が見られた。この日はオスプレイも市街地の住宅地真上を飛んでいた。地元沖縄はもちろん、日本政府の防衛省も、訓練再開前には事故の原因や防止策について説明を求めていたが、米軍側は何の説明もなく訓練再開に踏み切った。安倍政権は日米同盟の強化をこれまで成果として繰り返してきたが、「同盟」とは名ばかりであり、力関係では米国側が圧倒的に優位に立っていることが、改めて浮き彫りになった。
posted by テツロー at 16:16| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする