
米軍ヘリの不時着をめぐる国会質問中に、「それで何人死んだか」とやじを飛ばした松本文明副大臣が1月26日辞任し「誤解を与えた」と釈明したが、当時の状況とやじの中身を考えれば誤解の余地などない。米軍関係の事故は死人さえ出なければかまわないという、この国の一定数を占める国会議員が持つ共通認識が思わず出たにすぎない。松本氏は内閣府副大臣として沖縄担当も経験しているはずだが、この程度の認識である。同じ国内といっても、沖縄は遠い海の先にある土地くらいに思っているのだろう。
小学校への窓枠の落下をはじめ、最近は米軍ヘリのトラブルが相次ぎ、日本政府はヘリの総点検や一時飛行停止を求めているが、米軍側は聞く耳をもたない。那覇市から見ているだけでも、米軍ヘリの民間地上空の飛行はやむどころか、むしろ増えているような気がする。
久米島から那覇に向かフェリーに乗っていたとき、米軍戦闘機が近づいてきた後、フェリー近くで急上昇するという動きをみせたことがある。あきらかに、フェリーを標的にみたてて攻撃後に離れることを想定した訓練だった。これほど、露骨ではないにしろ、人口密集地を想定した訓練ではないかと思わせる動きをヘリや戦闘機が示す。米国本国や日本本土では同じことをやったら、政府への強い圧力がかかり、なかなか実施できない。ところが、沖縄については政府や世論の関心が薄く、大きな「横やり」なく実施できる。米軍は、実践を想定した訓練を作戦上やめるわけにはいかないのだろう。