2019年05月06日

皇位継承に漂う戦前の香り

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 4月30日に放映された「日本人と天皇」という番組が興味深かった。天皇礼賛や改元のお祭りムードに関する報道ばかりが多く、同じような内容かと思っていたので、番組の前半は見なかったが、たまたまチャンネルを合わせると予想とはだいぶ違った内容に引き込まれた。

 まず印象に残ったのは、天皇家と側室の関係を指摘した点である。歴代の天皇は男系男子の原則に沿ってきたとされるが、その男系男子の半数近くは側室が産み、正式の妻・皇后が産んだことがはっきりしているのは、ここ四百年で数人程度。男系男子による継承の歴史は側室が支えたことになる。

 考えてみれば当然だろう。男子が生まれるかどうかは自然のなりゆき。しかも、医療技術が未発達の近代以前は、その男子がうまれても成人になれるか確率は高くなかった。NHKの番組が反響を呼んだせいだろうか、5月6日のテレビ朝日系列のモーニングショーでも、このテーマに触れていた。

 そして何よりも恐ろしさを感じたのは、女性宮家や女性天皇に反対する人々が、皇位継承問題をどう考えているか答えた場面。次の世代を担える唯一の男系男子である悠仁親王に、希望を託したいという内容だった。厳然と存在する事実から目を背け、希望的観測しか信じない姿は、戦前、日米開戦を決めた政府首脳部を思い起させる。

 確かに、ただ一人の男系男子によって皇位継承が続く可能性もあるだろうが、皇室でここ半世紀、男子が一人しか生まれてないことを考えれば、確率はかなり低い。しかも、ただ一人の男系男子のもとに嫁ぐ女性には、皇位継承の命運を背負うという相当なプレッシャーがかかることになり、妃選びは相当苦労することになるだろう。

 安定的に皇位継承を続けるために、女性天皇を認めたり旧皇族を皇族に復帰させたりする案が出ているが、どちらも楽観的にはなれない。将来、女性天皇になる可能性がある人と、どんな男性が結婚できるか。また、これまで長年民間人として生活してきた旧皇族が、はいそうですかと皇族に復帰するか。いずれにせよ、民間人から皇族に入ることの難しさは容易に想像できるだろう。民主主義時代の生身の人間がどう考えるか、という視点が欠けている。
posted by テツロー at 10:53| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする