2023年07月29日
崇元寺の復元に意味はあるか
今日(7月29日)の地元紙に、「焼失前の崇元寺、模型で再現」という記事を見た。ゆくゆくは崇元寺そのものの復元を目指すという。崇元寺から5分とかからない場所に住む筆者にとって初耳のことだった。現地に行くと、何もなかった平らな敷地の中央に、手すりのようなものが付いた石垣状の構造物と再現模型がぽつりとあった。記事によれば、2021年度から3年間で10億円を費やし、崇元寺跡整備活用事業を推進。今年度は隣接する教会跡地に「ガイダンス施設」を建設するため基本計画を策定するそうだ。
近所に住む住民としては、まず何のために崇元寺を復元するのかと思ってしまう。首里城周辺で建物を復元するならば、観光客や歴史に関心ある人々が、琉球王国時代の首里をより広い範囲で体感できることになり意義は明らかだろう。首里の魅力が広がり訪れる人の増加を期待できる。これに対して、崇元寺周辺には王国時代の名所旧跡が周辺になく、崇元寺を復元したとしても訪れる人が目立って増えるとは思えない。もともと、復元された崇元寺に魅力を感じる人がどれだけいるか。
それよりも、予算があるならば、牧志公設市場周辺のアーケード街に費やすことを考えるべきではないか。老朽化が目立ち、このままでは取り壊すか、味気ない現代的な建物に置き換えられることが目に見えている。確かにアーケード街は崇元寺とは違い、従来の物差しでは保護すべき文化財とは呼べない。しかし、あのレトロな雰囲気にひかれて多くの観光客が足を運び、いったん失われれば再現することは難しい魅力があることは明らか。観光立県の県都ならば、何十年も前から続く「文化財」信仰に囚われず、何が観光客や住民にとって魅力か、新しい価値基準を設けるべきではないか。
2023年07月23日
沖縄から見える少子化と大国思想
最近、人口でインドが中国を抜いて世界一になったというニュースがよく話題になる。人口は経済力をはじめ国力や国際的な地位に深く結びつくからであり、日本はその人口が減り続けているという危機感が背景にあるのだろう。国全体としては人口の増加は利益だろうが、国民一人ひとりにとってはどうだろうか。たくさんいて、さらにどんどん増えるから、安くこき使ってもかまわない、戦場に送り出しいて死んでもかまわない。国によって違うが、「大国」の命運を握る指導者層は、そんな考えに流れがちのように思えてならない。
日本で少子化に危機感を抱く政治家たちも、安い労働力を大量に酷使し、税金を思うように浪費した時代への郷愁が潜む気がしてならない(現在も場面によっては継続してるだろうが)。少子化の原因はさまざまだろうが、人間が大切にされていない社会構造が小さくないはずだ。労働者の賃上げや待遇改善が唱えられ始めたのも、人手不足や少子高齢化が顕著になり出してからだ。人間を「浪費」する大国から、一人ひとりを大切にする小国への道を歩まざるを得ない。豪華さや壮大さはないけれど高い精神性が込められた文化や、大国に翻弄されながら独自の外交政策を育んだ琉球に、今後の日本が学ぶべきことは多いのではないだろうか。
2023年07月15日
今年は沖縄も異様に暑い夏
例年ならば、海に囲まれているおかげでもあって、那覇市内で最高気温は32度くらいまでで、それ以上に高くなることはなかったが、今年は梅雨明けから連日のように34度を記録。猛暑日の一歩手前である。ラニーニャ現象の影響という指摘があるが、全国的に猛暑日が広がっても沖縄だけは32度どまりという、これまでの常識は通用しないようだ。昼間に出歩くと、バテるのが早い気がする。湿度が高いことも影響しているのかもしれない。
異例といえば、暑さとはまったく関係ないが、地元メディアにおける、タレントのりゅうちぇるさんの扱いも異例のような気がする。たいてい、沖縄に関連した出来事や沖縄出身の人に関する話題は、全国メディアよりも沖縄メディアは大きく扱ってきた。ところが、りゅうちぇるさんに関しては非常に扱いが小さいように思える。むしろ、全国メディアの方が連日大きく取り上げている。地元では実際の知り合いが多く、情報の出し方に神経を使っているということだろうか。亡くなり方に不確かな点が多いが、ネット情報のあり方という大きな問題を含む可能性があり、単に一個人の死とだけは扱えないだろう。