2023年09月24日
本土で消える基地の影
難波功士編『米軍基地文化』では、戦後日本の作家やミュージシャンに投影された「米軍基地」を指摘する。漫画家の弘兼憲史(山口県岩国市)、作家の村上龍(長崎県佐世保市)や寺山修司(青森県三沢市)らは基地の近くで生まれ育ち、作品に基地が登場する。意外なところでは、ユーミンや尾崎豊の曲にも、さりげなく基地の風景が織り込まれる。明確な反対や反発ではないが、何かしらの違和感があったことはうかがわれる。
しかし、現在ではそうした違和感すら本土ではほとんど消えたように思える。本土の米軍基地は整理統合が進み、日米両政府による巧みな基地隠しが功を奏したといえよう。中国や北朝鮮の脅威が注目を浴び、基地の必要性が認知されるようになったこともあろう。住民の反発が薄らぐだけでなく、横須賀のドブ板通り・基地見学ツアー、佐世保バーガーなどのように観光資源として生かす試みさえある。原潜入港に反対運動が起きた時代は遠い昔。むしろ、沖縄・辺野古における新基地建設反対に違和感を覚える人が増えているのだろう。
2023年09月16日
沖縄から見た大臣の1年交代劇
9月14日、岸田内閣の新しい顔ぶれが発表になった。新聞記事を見ると、「第2次再改造内閣」とある。岸田氏が首相に就任してからまだ2年足らずにもかかわらず、何度内閣を改造したのだろか分からない。長い大臣でも2年足らずであり、例えば、沖縄担当ならば1年余りにすぎない。ちなみに、2022年8月から沖縄担当相だった岡田氏は地方創生担当相との兼務。今回の改造で沖縄担当相となった自見英子氏は、地方創生、万博など5つの担当を兼務し、いつまで大臣職にいるか分からないが、おそらくそれほど長くない間で、いろいろな仕事を並行しながら進めることになり、まともなことができるか疑問に思うのはごく自然だろう。
今回の内閣改造に限らず、1年か2年で変わる大臣が結構多い。それに「仕事をやっている」感を出したいのか、最近はやたら兼務が多くなっている。9月14日に新聞に掲載された「内閣の顔ぶれ」の下には、「特命・担当事項」が小さい文字で12行にわたって延々と書かれていた。まともに考えれば、そんな大臣に何ができるのか想像もつかず、政治の世界を外から見れば、実際何をしたのか分からない。多くの与党議員は大臣職に就き、箔をつけたがっているといわれ、首相としては党内融和を図り内閣のフレッシュ感を出すため、なるべく多くの国会議員を大臣にしようと、頻繁に大臣の首をすげ替えていると、かつては批判が結構あったが、最近はほとんど聞かれなくなった。政治家が力をつけて1,2年で業績を残せるようになったとはとても思えない。マスコミの怠慢だろう。写真は2012年の自民党総裁選で候補者がそろって沖縄・那覇市を遊説した時に撮影した。