2023年11月26日
生かされない那覇の市場界隈
昨日(11月25日)夕方、那覇市の国際通りから公設市場あたりを歩くと、ほぼコロナ禍以前の賑わいを取り戻した印象だが、公設市場からさらに奥に入ると、途端に人の流れが少なくなる。公設市場より奥の区域は観光客向けというよりは地元住民向けの店が大半であり、かなり空き家も目立つ。コロナ禍以前から観光客の姿は少なかった。しかし、古く小さな店舗が並んで迷路のように入り組んでいて、今はやりの昭和レトロのムードがたっぷりに漂う。生かしようによっては、新たな観光スポットになるのではないだろうか。地元の企業が買収してそのままの建物や、新たな建て替えを知らせる看板が設けられている。この区域の一番奥にある農連市場は、単に新しい建物に建て替えられただけであり、今では人の姿はまばらで、かなり寂しい雰囲気を漂わせる。同じ轍を踏まないことを願うばかりである。
2023年11月22日
沖縄にJアラートは偶然か
昨晩(11月22日)の午後10時半過ぎ、晩酌でいい気分に酔っぱらっていると、テレビ画面がいきなり真っ黒になって「Jアラート」が鳴りだし、アナウンサーが北朝鮮のミサイル発射を叫ぶように繰り返す。続いてスマホが鳴りだしJアラートを伝える。屋外にいる人は建物に入るのだろうが、自分のようにすでに家の中にいる者はほとんど何もできない。ミサイルによる被害が出ることはほとんどないだろうが、就寝前のくつろいだ雰囲気をかき乱された気分である。
記憶に頼った話だが、過去にJアラートが発動されたのは、沖縄か北海道方面だけだったように思う。大都市から見れば、北と南の「辺境地」である。これは偶然だろうか。ミサイルを飛ばす方向を決めるのは北朝鮮であり、地球の自転など物理的な理由があるかもしれないが、やはり東京など大都市に向けて発射したら大きな混乱になるのは明らか。国と国の駆け引きという面では「辺境地」に向けて発射するのが無難であり、「脅し」という面でも効果的だろう。
しかし、「辺境地」にも人が生活し、万一トラブルになった場合はその舞台になる。国と国の緊張関係は「辺境地」にしわ寄せがくることを証明している。これは決して杞憂でなく、沖縄戦からそれに続く米軍支配が端的に物語っている。さらに、今では台湾をめぐり中国との緊張関係が高まり、南西諸島の自衛隊強化が続く。「守りを固める」という論理があるにしても、緊張関係を和らげる努力をしているのだろうか。世の中には勇まし「毅然とした態度」を好む風潮ばかりが流れる。ロシアのウクライナ侵攻や、イスラエルのガザ侵攻から明らかなように、いったん武力衝突が始まれば止めることは容易でない。
2023年11月12日
新基地建設で全国的な思考停止
名護市辺野古の新基地建設をめぐって、玉城デニー県知事は、沖縄防衛局による設計変更(軟弱地盤の改良工事)申請の承認を拒否しているが、10月末、国が県知事に代わって申請を承認する代執行に向けた訴訟の第1回口頭弁論が福岡高裁那覇支部で開かれたが、わずか1日で結審。裁判所はもう結論が出ているかのような扱いだ。
また、11月初めには、新基地建設に伴う埋め立て申請前の2007年に、沖縄防衛局は海底に軟弱な地層が存在することを把握しながら追加のボーリング調査などを必要ないと結論づけたことが判明した。地元紙によれば、防衛局は2013年の埋め立て申請には「長期にわたり沈下する軟弱層は確認されていない」と記載したが、県の承認を受けた後の14年にボーリング調査を開始。軟弱地盤が確認され改良工事が必要と説明したのは、土砂投入を開始した19年だった。
このように政府や司法の判断・振る舞いに大きな疑問符がつけられても、全国的なニュースとしては非常に扱いが小さかった。全国的に新基地建設に対する関心が薄いことは確か。その大きな要因の一つが、中国による台湾の武力併合が叫ばれ、ロシアがウクライナに侵攻しイスラエルがガザ地区を攻撃するなど、国際的に緊張が高まっていることだろう。安全保障面で米国に頼らざるを得ないから、米軍に協力するためには新基地建設もやむなしという考えが広まっている。しかし、これは思考停止の状態と言ってよいだろう。ウクライナやガザ地区の例を見て分かるように、米国が軍事衝突の回避や被害拡大に目立った役割を果たせないことは明白。国内事情を優先して積極的に介入することを避けている。そろそろ日本も米国だけに頼った安全保障から離れる時期にきている。