2024年04月06日
沖縄のイペーと新しい移民時代
近所でイペーが鮮やかな黄色い花を咲かせている。灯りをともしたような鮮やかな色にひきつけられるが、今年は3月まで寒い日が続いたせいか例年に比べ開花が遅いような気がする。イペーは南米原産でありブラジルの国花。多くの海外移民を送り出した沖縄では、移住地でイペーの花が咲き誇り、訪れる人の心を捉えるなど、移民文化と結び付けられ語られることが少なくない。
少し前まで移民といえば過去の出来事のように語られたが、近年は新しい形の移民が始まっているようにも見える。バブル経済の崩壊以降、日本の賃金は長期にわたって低迷した上、円安傾向が定着していることもあって、より高い給与を求めて海外で働く日本人が増えているらしい。高収入を謳って日本人女性を集め売春目的で海外へ送り込む業者が摘発されたという報道さえあり、かつての「からゆきさん」を彷彿させる。
ここまで日本経済は落ち込んできたかと暗然とした気持ちになるかもしれないが、若い時代に海外や異文化を触れることは貴重な経験になろう。世界市場で製品を売るためには各国の社会、経済、文化をつかむ必要がある。長い日本の歴史を俯瞰した場合、円高の流れに乗って海外で高額の買い物をする一方、流入する安価な外国人労働者を使って繁栄した時代が例外だったのに過ぎない。天然資源に恵まれない日本は、海外の文化や技術、知識を謙虚に受け入れながら人材を育て発展してきたことを忘れてはならない。