2024年09月27日
方向性が見えない沖縄の観光地づくり
那覇市の牧志公設市場や国際通り周辺をぶらぶら歩くが、新型コロナ感染の世界的な流行前に比べると人通りが少ない、まだまだ観光客が戻っていない印象だ。中国経済の減速など外部的な要因もあろうが、それだけだろうか。この界隈の魅力であるはずのレトロで活気のある雰囲気が失われている影響もある気がする。那覇市の重要な観光地がどの方向に向おうとするのか見えにくくはないか。
最近は沖縄県、市町村、観光関連団体の間で観光目的税(宿泊税)をめぐり、定額制か定率制か、県と市町村が税収をどう分配するかなど議論が交わされているらしい。確かに観光地としての魅力を高めるために財源が必要なことは分かるが、新たな税収をどう使い、どのような観光地にしたいかが見えない。宿泊税が導入されても財源の奪い合いばかり目立つようならば観光地としての沖縄の未来は明るいとは言えまい。
2024年09月18日
沖縄での進次郎氏の評判
昨日(9月17日)自民党総裁選立候補者の地方演説会が那覇市内で開かれた。(上の写真は、2016年1月に宜野湾市長選で応援演説をした時のもの)テレビでは「政治的中立」の見地から個々の候補について評価を下さないが、小泉進次郎氏が地元・横須賀と同じように沖縄でも基地を「逆手にとって」地域振興を図るべきと発言する場面を、複数のテレビ局が流していた。沖縄は基地を受け入れて経済活性化を進めるべきという点では他の候補と大差はないが、「逆手にとって」という表現にテレビ局はひっかかったのだろう。
「逆手にとって」といえば、相手より一枚上手で賢い場合に使う言葉である。政府から提示されたように、基地を受け入れ「地域振興策」に乗っかることが一枚上手の手法だろうか。単に政府の政策を飲んだだけではないのか。沖縄は戦後、「基地」をとるか「経済」をとるか判断を迫られ、現在建設中の辺野古新基地をはじめ各地で住民が分断され苦しめられきた。与党総裁を目指す立場としては基地と「地域振興策」をセットで売り込みたいのだろうが、「逆手にとって」などという目くらましの論法を持ち出すことは、地域の分断に苦しめられた沖縄の歴史に対する無知という印象が強い。
出る杭は打たれる。進次郎氏はメディアの票読みではトップを走ると言われるだけに、最近ネットメディアでは言葉が「軽い」「中身がない」などと評価を下げる記事が目立つ。沖縄演説会でも沖縄の歴史に対する勉強不足が浮き彫りにされた格好だ。若き改革派は応援したいものの、「聖域なき改革」と父親と同じフレーズを持ち出すなど改革の中身がどれだけあるのかも気になるところだ。
2024年09月13日
基地問題は聞こえない自民党総裁選
写真は、自民党が政権から転落した時の総裁選で2012年9月に候補者たちが沖縄を遊説した時のものだ。沖縄の米軍基地問題をめぐって民主党政権が混乱したのを意識して遊説先に選んだのかもしれないが、昨日(9月12日)告示された自民党総裁選ではメディアを見渡す限りは、沖縄の基地問題に関する言及は見当たらない。むしろ「国を守る」という勇ましい声が聞こえ、米軍への協力を強め南西諸島の自衛隊配備を後押しする予感が漂う。
今後、候補者およびメディアには、争点としていかに「国を守る」か具体的な方策を明らかにしてほしい。よく自民党政権では「抑止力」という言葉が使われ、日米同盟を強化する理由にたびたび挙げられてきたが、米国をはじめ西側諸国が強く支援するウクライナが最終的にはロシアの侵攻を受け「抑止力」は機能しなかった。「抑止力」とは敵対勢力がこちら側の軍事力などをどう判断するかにかかっており、彼らは本音を漏らすことはなく、あくまでもこちら側の推測にすぎない。この曖昧な「抑止力」に頼って「国を守れる」か。「毅然とした態度」など勇まし言葉を使うのは簡単だが、ウクライナ侵攻から分かるようにいったん戦闘が始まれば、停止することがいかに難しいかは明白。本気の議論を望みたい。