2018年06月02日

70年以上変わらない「上官命令」

最後の学徒兵.jpg

 日大アメフト部の悪質タックル事件を聞いたとき、既視感を覚えた人がいるのではないだろうか。太平洋戦争中の日本軍である。最も象徴的な事件が、上官の命令で捕虜を虐待・虐殺した日本兵が、戦後は戦犯として重い罰を科せられたケースだと思う。

 私は森口豁著『最後の学徒兵』が頭をよぎった。同書は、沖縄戦のさなか石垣島で捕虜になった米兵を、上官の命令で処刑した学徒名が戦後、戦犯として裁判にかけられ死刑に追い込まれた事件を追う。

 悪質タックルと捕虜の虐殺では罪の重さに大きなひらきがあり、スポーツ・チームと軍隊について、指揮命令系統の単純な比較はできない。当時の日本軍内における上官の命令は国家権力による強制であり、逃れることはほとんど不可能に近い一方、現代のスポーツ・チームには加入・脱退の自由があり、論理的には命令を拒む自由がある。

 にもかかわらず、悪質タックル事件ではニュースで伝えられるように、組織上の上位者による命令を拒めない状況にあった。これに多くの人が同意する。だから、タックルを実行した選手に同情が寄せられる。良心に反する命令でも受け入れざるをえない現場と、責任をあいまいにする組織指導部。戦後70年以上経っても変わらない精神風土が日本社会に根を張っていると思えて仕方ない。
posted by テツロー at 10:59| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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