2019年09月07日

「昔はよかった」に潜む危険

「昔はよかった」と言うけれど.jpg

 テレビ番組などで、「マナー・モラルの低下」がよくクローズアップされる。何となく日頃から「そうだろうな」と思うし、自分勝手にゴミを捨てる映像が画面に現れると、かなりの説得力を持つ。しかし、具体的に資料を調べたり研究したりして、実証的に過去と比較したわけではない。昔はマナー・モラルについて厳しく躾けられたというイメージが浸透しているだけ。過去に理想を求める考えには慎重でなければならない。大倉幸宏著『「昔はよかった」と言うけれど ―戦前のマナー・モラルから考える―』(新評論 2013年)を読んでそう思った。

 著者は、戦前の新聞や著作物からマナーやモラルの関する部分を調べ、当時の実態を描こうとする。列車への割り込み乗車、車内でのゴミ捨てや宴会騒ぎ、横行する無賃乗車、ゴミ捨て場と化した道路・河川や公園、輸送荷物からの抜き取り、犬猫の死肉販売…。現代日本では考えられず、どこか途上国のような行いの数々である。

 こうした実例を挙げながら、現代の方の方が、明らかにマナー・モラルが向上していると断定するとともに、著者は最後に、道徳教育のあり方に疑問を投げかける。戦前には、道徳が教科として教えられていたにもかかわらず、かなりひどい状態。今、安倍内閣のもとで再び道徳を教科にしてもマナー・モラルの向上に効果があるのか。いつ、なぜ日本人のマナー・モラルが崩れたかは議論の余地があると思うが、道徳の教科化についてはまったく同感である。

posted by テツロー at 17:10| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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