
9月11日に第4次安倍内閣が発足したが、内閣改造をめぐる報道で焦点が当てられたのは、小泉進次郎氏が環境相になったとか、有名ダンサーの友人が初入閣したとか、雑談の小ネタにはなっても国民生活にはどうでもいい話題ばかりである。
かつては、短期で交代するため、大臣といっても官僚の言いなりでしかないとか、頻繁に行われる内閣改造をメディアがよく批判したが、今回はそんな批判の気配もない。「加計問題」も一時期はかなり取り上げられたが、あの時疑惑の渦中に置かれた人物が文科相に就任したにもかかわらず、今回はほとんど触れられない。
沖縄担当相の引き継ぎで、新旧大臣の間で「沖縄との間に感情的なもつれがある」という発言があった。沖縄のメディアでは取り上げられたが、大手メディアは焦点を当てただろうか。会見でこの発言の意味を問われた衛藤晟一・新沖縄相は「(国も県も)沖縄振興、基地負担軽減(という一つの方向)に向いているのに、なかなか歯車がかみあわない」と説明したという。
沖縄戦では本土防衛のための捨て石にされ、戦後は本土の独立と引き換えに、本土より20年長い米軍支配下に置かれ、本土復帰後も40年以上、米軍基地が集中する状況が続いてきたのに、米軍普天間基地の移転先が県内の名護市辺野古になれば、永遠に米軍基地集中が続くことになりかねず反対している。政府には政府の見方があるだろうが、こうした沖縄の考えが「感情的なもつれ」だろうか。国と県の間に横たわる、断層の深さを思わずにはいられない。
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