2024年11月08日
トランプ返り咲きと沖縄
米国大統領選の投開票の結果、11月6日(日本時間)トランプ氏が大統領に返り咲くことが伝えられると、日本のメディアではおおむね政治経済で混乱が起きかねないと否定的な報道がもっぱらだった。同氏は前回の大統領時代、独断と偏見で情報を発信し政策を決定する場面が目立ったが、日本にとってプラスの面が期待できないわけではない。むき出しの本音をぶつけることが多く、なんとなく「安全保障面で米国は日本を守ってくれる」という幻想を抱く日本人の意識を変えてくれる効果があるのではないかと考えている。
在日米軍基地は日本を守るために存在していない。米国政府のこの方針は専門家が繰り返し指摘してきたが、日米両政府がことあるごとに「強固な日米同盟」を訴えきたため切迫感をもって国民の間に広まっていないように思える。しかし、トランプ氏は日本や欧州に対して「もっと金を出さなければ守らない」と繰り返し発言している。常識的に判断すれば、このようなことを口にする者は金を出してもイザとなれば守らないだろう。また、大統領がトランプ氏でなくても、よほど米国と密接な利害関係にある国でない限り、自国が戦争に巻き込まれるリスクを冒してまで軍事的な介入をしないと考えるのが常識的。ロシアのウクライナ侵攻がよい例であり、日本は違うという根拠を見つけられるだろうか。
報道によれば、すでに欧州は米国をあてにできないと独自の防衛策を進めている。NATOという集団安全保障体制の枠組みを持っているから方針の大きな転換を迫られることはないだろうが、果たして日本はどうだろうか。いざとなったら守ってくれるという米国頼りの安全保障政策が続き、基地の大半も沖縄に押し付けることによって、見たくない現実を見ずにすんできた。そろそろ幻想から目を覚まし、米軍の実態に直面してきた沖縄の声に耳を傾けるべきだろう。だが、欧州のように独自に安全保障の枠組みを築く努力を怠ってきたために、すぐに方針転換は難しいに違いない。トランプ氏のような交渉上手に足元を見られないか不安を感じずにはいられない。
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